Jazz Contrafactに驚く

 ジャズには昔から、コード進行だけ借用して別の曲を作る、ということがしばしば行われてきた。ロリンズのOleoやモンクのRhythm-a-NingはスタンダードのI Got Rhythmのコード進行、マイルスのDigやクリフォード・ブラウンのSweet CliffordはSweet Georgia Brownのコード進行、という具合だ。
 そんな借用の中で一番有名なのはDonna Leeだろうか。スタンダードIndianaのコード進行を使っているのだが、もはや最近はIndianaのメロディを知らない人の方が多いのでは(僕も以前そうだった)、というくらいジャズ界での知名度が逆転している。Indianaはもはや「Donna Leeの元曲」という立場なのではないだろうか。

 そんな借用のことを、最近ではJazz Contrafactというのだそうだ。そんなJazz Contrafactの例として、昨日買ったJazz Life誌ではロリンズのValse Hotが紹介されていた。名盤Sonny Rollins Plus Fourで演奏された美しいジャズワルツ。そのValse Hot、なんとOver The Rainbowのメロ部分と同じコード進行なんだという。これには驚いた。確かにそういわれてみると、Over The Rainbowを三拍子にして歌って見たあとに、Valse Hotのメロディを歌ってみると。。おお、ぴったりだ。何てこった。
 そう考えると、あのValse Hotのイントロも納得がいく。あの機械的なメロディは、Over the Rainbowのサビのメロディの変奏なのだ。
 どうということのないコード進行だから、まったく気づかなかった。逆に、最初に気づいた人はすごいと思う。IndianaやSweet Georgia Brown、I Got Rhythmならなんとなく進行に特徴があるから気づきそうな気もするけど、Over the Rainbowの進行なんて平凡すぎて、普通はValse Hotと関連付けようなんて思わない。ましてや拍子も違うわけで。。。研究熱心な人がいるもんだなあ。