ガソリン高騰による経済的規制の効果

ガソリン高で車利用手控え、渋滞緩む 首都高は2割減少
http://www.nikkei.co.jp/news/main/20080712AT1C1100F11072008.html

東京都心の首都高速道路の渋滞は1年前より2割減少し、所要時間が4割短くなった区間もある。ノロノロ運転が慢性的だった「首都の動脈」は一変した。
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首都高速道路会社は、時速20キロ以下の走行を強いられる込み具合を渋滞と定義。全線の約7割を占める「東京線」について、最も混雑する平日午前11時の渋滞個所の総距離を調べたところ、1―3月は平均44キロと前年同期より12キロ(22%)短くなった。全路線に占める割合は約20%から約5ポイント下がった。

ガソリン高騰、渋滞減らす? 6月の大阪府内35%減
http://sankei.jp.msn.com/life/trend/080712/trd0807121117010-n1.htm

一般道の交差点で府警が測定している渋滞時間は短くなり、6月は前年比約35%もの減少を記録した。
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3月は前年比30時間減の165時間▽4月は同17時間減の104時間▽5月は同32時間減の84時間▽6月は同53時間減の99時間。暫定税率復活後の5月は前年比約27%、6月は同約35%の減と、減少幅が増えている。

 道路を造るんじゃなくて利用者側の行動の変化によって渋滞をなんとかしましょう、という考えが10年前くらいからあって、これは「TDM(Traffic Demand Management)」と呼ばれている。具体的には通勤車への相乗りとか、都心への乗り入れ規制とか、オフピーク通勤でラッシュを避けましょうとか、そういうやつ。
 これはこれでそれなりに成果を上げており、よく知られるところではETCの時間別割引などはこれの考え方に依っているわけだ。
 で、上に示した今回のガソリン高騰による一連の渋滞減少のニュースは、ことTDMについては、カーシェアリングとか人々の良心に訴える対応よりも、財布を直撃するのが何よりの方法だ、というのを如実に物語った結果になっていると思う。あるいはミクロ経済の需要と供給の論理の説得力を見せつけられたとでも言おうか。
 今後は、道路利用者サイドにとって見れば、財布は直撃するものの、これまでの利用形態を改めて、利用しどころを選択し、本当に必要なときだけ利用するようなライフスタイルとなるのだろう。道路建設サイドにとってみれば、道路建設大義名分を失うわけで、渋滞対策という錦の御旗を失う形になり、内心複雑なところもあることだろう。実際、このまま継続的にガソリンが高騰し続けるなら、道路整備計画は必要なし、みたいな議論が出てくると思う。