Wow / 大西順子

 90年代当時の日本のジャズを代表する一枚と言えると思う。ピアノが打楽器だったんだ、と改めて認識させられる力強いタッチと、どんなに熱くなっても失われない美しい歌心が彼女の真骨頂だ。彼女の場合は一般的なジャズピアニストと異なり、根底にDuke Ellingtonが流れているのが大きな魅力。Herbie Hancockでもなく、McCoy TynerでもBud Powellでも、ましてやBill Evansではないところがミソ。もちろん現代のジャズマンだから、モードのジャズも普通に素晴らしいんだろうけど、少なくともこのアルバムではその辺を微塵にも感じさせないところが逆に面白い。
 一曲目のから耳が離せられなくなることと思う。テーマメロディに至るまでのカタルシスが絶品な、どこまでも循環するコード進行と、タイトルどおりドラムのブラシが素晴らしい、ラストのオーネットナンバーまで、コーダルなジャズピアノの魅力が開いた素晴らしい一枚。

WOW

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