散髪と祖父の想い出

 伸びていたので散髪。アラフォーに近い年だが、髪の毛だけは衰え知らず。むしろ量が多すぎて、少し減らしてもらうくらい。白髪もずいぶん増えたが、まださほど目立つほどではなく、基本真っ黒の黒髪で硬い。同年齢の中には、もう「兆候」が見えるやつもいたりする中で、この年でこれは幸せな限りといえようか。

 こうした体の特徴については、母方の遺伝だ。母方は長生きで丈夫な家系。僕も姉も幸いに大病をしたことがない。母方の祖父は100歳で大往生だったんだが、亡くなるまで禿げずに角刈りの粋な人だった。僕の髪の毛もそっちから遺伝したというわけ。ここだけは父方に似なくて良かったなあ・・・。顔の造作と性格は父方なんだが。
 母方は伊勢から一つ向こうの熊野古道沿いの宿場町で江戸時代から続く呉服屋をしていて、祖父はその婿養子にして最後の主人。僕も覚えているその呉服屋の屋号は「大和屋呉服店」だったから、母方のルーツは奈良県なのかもしれない。祖父の現役当時である昭和30年代は、名古屋の繊維問屋街である長者町通りまで買い出しに行っていたそうで、新婚当時の我が親父もそれを手伝ったりしていたそうな。今僕はその長者町通りの隣の通りのオフィスで働いており、ちょっと感慨もあったりする。

 おしゃべりで天ぷらが好きで、たまに我が家に遊びに来ると、周囲を散歩しながら近所のおばあさん相手に「あんた年いくつ?え、70?若いなァ」とナンパを繰り返していた祖父。内に厳しく外に明るく、商売人気質の人だったとのこと。僕にはあくまで好々爺だった。今も空の上で元気におしゃべりしていることだろう。