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Song Book

Song Book

 現代のモダンジャズアルトの最高峰ともいえるKenny Garrettの90年代半ばの名盤。代表作ともいえるSing a Song of Songが収録されたワンホーン作品で、Garrettの個性あふれるサウンドが十二分に発揮された作品。
 Miles Davisの晩年のバンドに在籍していた80年代後半から90年代初頭は、さすがにどこかMilesの影響を受けた作品を発表していたが、このアルバムを含むその後のアルバムでは、いい意味でMilesの影響を背景に感じさせつつも、それらを昇華したストレートなサウンド、という個性満点の作品を連発している。本作もその一つ。
 テクニカルな面では、いわゆるフュージョン方向に進まないアルト奏者の語法として、一つの頂点を示していると思う。何といっても個性的な音色とあいまったアウトフレーズのバランスが最高だ。

Double Rainbow: Music of Antonio Carlos Jobim

Double Rainbow: Music of Antonio Carlos Jobim

 名手Joe Henderson晩年のAntonio Carlos Jobimに捧げたボサノバ作品。もちろん全編Joe Hendersonの個性あふれるテナーサウンドが堪能できる。悟りきった枯れたフレーズは、あくまでも正統派のビバップのフレーズに根ざしつつも圧倒的な個性で居合い抜きのようにこちらに迫ってくる。なんだろう、これは。凡庸にも思えつつ、誰にも真似できない本当の個性がここにはあると思う。
 本アルバムの発表当時に、同じVerveレーベルに在籍していたことで実現したと思われるHerbie Hancockの参加も今となっては貴重。リーダーでも素晴らしいが、サイドマンだとなお一層素晴らしいというHerbieの良さはここでもそのとおり。いい仕事してます。
 いやあ、本当に素晴らしいなあ。

モダン・サウンズ

モダン・サウンズ

 50年代初頭にWest Coastで活躍していたShorty RogersとGerry Mulliganのそれぞれのビッグコンボ作品を収録した作品。ジャズ史としては、Miles Davisの影響がWest Coastに及んだことを示すアルバム、ということになるんだろうか。まあそういう一面もあるんだろうけど、要するに当時東海岸で流行っていた音楽を、西海岸の譜面に強いBig Bandの連中が演奏してみた、というのが実際のところじゃないか。まあ、MulliganはBirth of the CookとWest Coast Jazzの両方に関与しているところを見ると、文化の流出・拡散過程が見えるというところだろうか。
 収録のどの曲もスマートでいいが、好みでいえばGerry Mulliganの一連の作品が魅力的かな。
 West Coastの編曲志向というのは結構影響が強くて、例えばどちらかと言えばハードバップジャズとして名高いMax Roach - Clifford Brown Quintetにスマートなアレンジが施されているのは、彼らが西海岸で活動していたのが大きい。そんなことを思い出させてくれるアルバムだ。