「恋文/連城三紀彦」を読む

 読了。短編五作が入っており、どれも一癖ある男女の恋愛を描いたもの。さすが直木賞ということでどれも良いが、特にタイトル作「恋文」とラスト「私の叔父さん」が心に残る。また「十三年目の子守唄」は胸に小さな闇が残るような鋭いできばえ。いずれの作品もちょっとしたどんでん返しが仕掛けられており、軽い驚きをもって読み進めることができた。某所で紹介されるまでは全く知らなかった人なのだが、どうやらミステリも書く人のようだ。
 それにしても日本語が美しく、文章のリズムが素晴らしい。