At the Village Vanguard / Gerry Mulligan Big Band

 Gerry Mulliganが結成していたBig Bandのライブ盤。
 Mulliganは言わずと知れたBaritone Sax奏者。古くはアルバムBirth of the Coolへの参加とか、ピアノレスカルテットでの活躍が有名なのでアレンジで評価されている傾向もあるけど、アドリブの腕前も相当なもの。全般にそのアドリブはあまりビバップではなくて、どちらかと言うとLester Youngとかのスィングテナーの流れを組んだ人だと思う。
 リフブルースによる。短いリフを挟みながらソリストが延々とアドリブし続ける、という趣向は、カンザスシティジャズのビッグバンド形態の流れを組んでいるのかな。特に後半、MulliganとClark Terryによる巧みのバトルは聞き物。 
 アレンジとしては、がしゃれていて楽しめると思う。Ellingtonなどのこってりした味わいとは全く異なる、やや軽め、西海岸的、映画音楽的アレンジとでも言おうか。強く明るかった時代のアメリカを体現しているようなサウンドだ。
 コンボばかり聞いている人には、ビッグバンドが苦手という人もいると思う。そういう人には、まずこうしたアルバムから聴いてみてもらいたい。

At the Village Vanguard (Spec Packaging)

At the Village Vanguard (Spec Packaging)