Kansas City (Original Motion Soundtrack)

 僕の理解では、カンザスシティジャズは、ビッグバンドの初期型で、原型は黒人ダンスバンドによるジャズ。ビートは4ビート主体だが、ドラムは単純でギターの役割が大きい。アレンジは譜面の読めないミュージシャンでも可能な単純な繰り返しフレーズ、いわゆるリフによるものが主体で、基本的には踊れる音楽だ。ビバップ以前なのでソロはメロディアスなものが多い印象だ。

 本作はロバート・アルトマン作の、そうした時代の思い出と悲劇を描いた映画のサントラ。演奏するのは現代のジャズマン達であり、アレンジはやや古めかしいものとなっているものの、ソロは現代のものというギャップが面白い。古いアレンジに新しいソロということで、New Bottle Old Wineというアルバム。
 参加メンバーはNicholas Payton(tp)、Jesse Davis(as)、James Carter(tb)、Craig Handy(ts)、Joshua Redman(ts)、Russell Malone(g)、Christian McBride(b)などそうそうたるメンバー。サントラの枠にとどまらないオールスターによる豪華共演が聞き所だ。
 いずれも水準以上の良演ばかり。有名曲の演奏は楽しくて、、<I Surrender Dear>、あたりはSwingJazzからジャズにはまった自分としては嬉しいかぎり。特にラストのはこの映画の悲劇性を際だたせている。
 演奏としては、によるバトルが手に汗握る。サントラの仕事だったはずが、徐々にジャズマン同士の本気のバトルになっていくところが面白い。

 僕はCharlie Parkerが生まれCount Basieが活躍したカンザスシティをかつて訪れたことがある。運悪く休日の雨模様で人が少なく、ろくに店も宿も見つからず、数カ所を観光したのちになくなくそのまま夜行バスで次の街を訪問することになった。ごく個人的なことを言えば、本作は、聞くたびにそんなことも思い出させてくれるどこか懐かしいアルバムだ。

Kansas City: A Robert Altman Film - Original Motion Picture Soundtrack

Kansas City: A Robert Altman Film - Original Motion Picture Soundtrack