鈍行で名古屋に帰ってみた

 東京から名古屋は新幹線で帰るのが普通だが、今回は時間があるので鈍行で帰ってみることにする。単にJRに乗るだけなのもつまらないので、途中までは私鉄利用にしてみた。こんなことするのは学生時代以来だが、大丈夫かな。

 二日酔いを感じつつ新宿のホテルを出て、小田急の急行で小田原へ向かう。小田急は随分久しぶりだ。それにしても東京の私鉄の運賃は安いなあ。。ともあれ、終点の小田原まで1時間強の旅。地図など持たずに乗り込んだんだが、駅名から察するに東名高速と相当程度並行しているんだろうな。厚木やら伊勢原やら秦野やら、なにやらなじみの地名が。
 小田原到着。小田原からはJR利用。小田原城は巨大な城だったそうだが、ホームの案内地図を見る限り、この小田原駅もかつては城の中だったんじゃないかな、という感じの地形だな。名古屋までは5000円弱の乗車券。普通列車に揺られる。小田原から「美の条例」真鶴町を通過し、左手に海を見つつ熱海へ。熱海からはJR東日本からJR東海に変わる。電車も乗り換えて、伊豆半島の付け根を貫く丹那トンネルを通って三島、沼津へ。万葉集にも歌われた田子の浦を通過し、富士市。富士山の湧き水を利用した工場が多い街だ。残念ながら小雨交じりの曇り空で富士山は見えず。富士川を渡り、蒲原、由比。ここでは広重の浮世絵を思い出す。雪の蒲原、さった峠。清水を経て静岡に到着。この辺で中間地点。
 静岡を出るとすぐに安倍川を渡る。焼津を経て、島田、大井川。この辺が駿河遠州の境目だったかな。島田は大井川越えの宿場だったからとても栄えた、ということだが、今はひなびた街になっている。大井川渡河後は、丘陵地の中を通り、菊川、そして大河ドラマの舞台にもなる掛川に至る。掛川を出ると、袋井、磐田と良く似た規模の街を通る。磐田は天竜川に削られた河岸段丘地形が強烈だ。その天竜川は、上流である長野県の豪雨のせいか、すっかり濁った大河になっていた。天竜川を抜けて浜松。浜名湖を眺め、豊橋に到着。この辺まで来ると普段の生活圏なので、あとは一眠り。乗客がぐっと多くなる。その後一時間で名古屋到着。合計6時間の旅だった。

 学生時代よりも静岡に関する知識が増えているので、長旅も思ったより苦にならなかった。ああ、この街は○○だったよなあ、という感じで飽きない。何も知らなければ車窓の景色はただの景色だが、ちょっとした知識を知っていれば、その何気ない景色は豊かな想像力を引き起こしてくれる。

 昼食をとり、そのまま会社へ。21:00まで働く。